免疫反応の実際

免疫反応

外敵(細菌)と免疫細胞たちの戦いです!
細菌が傷口から体内に入ってきました。化膿菌などの細菌やカビ、原虫は自分自身で増殖することができます。さあ、それぞれの免疫細胞は互いに連携しながら、どのように戦っていくのでしょうか。

@ 血液に細菌が侵入してくると、血液中のリゾチームが感染を食い止めようとします。
A 補体が活性化し増産されて、細菌の表面に穴をあけて破壊したり、貪食細胞(好中球やマクロファージ)を呼び寄せたりします。
B 貪食細胞が真っ先に集まって、細菌を素早く包み込んで消化し殺菌します。細菌を処理した好中球は破裂してしまいます。好中球と細菌の死骸は傷口から膿となって出てきます。
C マクロファージが殺菌しきれない場合は、消化した細菌の一部を自らの先端に付着して抗原(細菌)を提示し、T細胞に「外敵が来た!」と知らせ、助けを求めます。
マクロファージはインターロイキン(サイトカイン)を分泌します。インターロイキンは脳の発熱中枢に連絡して発熱させたり、T細胞を活性化させます。
D B細胞は表面にあるレセプターで抗原(細菌)を捕らえ、抗原に合う抗体を作るように準備をします。B細胞も表面に抗原を提示して知らせます。
E ヘルパーT細胞は、マクロファージやB細胞より抗原(細菌)の情報を受け取り、B細胞に抗体を作るよう指令を出します。また、ヘルパーT細胞は、サイトカインを分泌し、B細胞が抗体を作るのを助けたり、マクロファージが活性化するのを助けます。
F B細胞は、分裂を繰り返して増殖し、抗体を大量に分泌し血液中に放出します。
G 先端部で細菌と結合した抗体は、補体と一緒になって、最近に穴をあけて破壊したり、塊にしてマクロファージなどの貪食細胞が食べやすいようにします。
H 細菌が完全に排除されたとき、サプレッサーT細胞はサイトカインを分泌して、免疫反応を抑制し終了に導きます。

インフルエンザウイルスに感染した!

今度は細胞性免疫系の出番です。
ウイルスは細菌などと違って細胞の中でしか増殖できません。一方、抗体は細胞の中に入れません。強力なウイルスを相手に今度は殺し屋たちが戦います。

@ 喉などの粘膜を突破して体内に侵入し、近くの細胞の中に入り込んで増殖を始めます。
ウイルスに感染した細胞からインターフェロン(サイトカイン)が分泌されて、感染していない細胞に働きかけて、ウイルスの増殖を止めようとします。
A ナチュラルキラー(NK)細胞もウイルスに感染した細胞を破壊していきます。マクロファージも感染細胞を食べて処理していきます。マクロファージはその処理した断片を表面に抗原提示をし「外敵が来た」ことを知らせます。同時に分泌するインターロイキンは、脳に働いて発熱させて、免疫を活性化させます。
B ヘルパーT細胞はマクロファージの抗原提示を見つけると、サイトカインを分泌し、キラーT細胞を活性化させます。ここから本格的にウイルスの撃退が始まります。
C キラーT細胞は分裂・増殖し、ウイルスに感染した細胞を直接破壊していきます。
同時にキラーT細胞やヘルパーT細胞は、インターフェロンというサイトカインを分泌して、ウイルスの増殖を抑えます。
D B細胞によって分泌された抗体は、NK細胞やキラーT細胞によって破壊された細胞から飛び出してきたウイルスと結合して他の細胞への感染を防ぎ、無害化します。死にかけたウイルスはマクロファージが処理します。
E 最後にサプレッサーT細胞が働いて免疫反応は終了し、インフルエンザは治癒します。

ガンを未然に防ぐ免疫細胞

ガン細胞は、通常の細胞にガンという抗原が発生し増殖していきます。しかし、免疫の監視システムはガン抗原を認識すると、主にキラーT細胞やNK細胞が攻撃して破壊してしまいます。
この監視システムがうまく機能している間はガンを防いでくれます。しかし、このシステムが崩壊するとガン細胞が増殖してしまいます。

細胞の死には自殺と他殺がある?

●ネクローシス《細胞他殺》

外部からの刺激や生存に必要な物質が欠乏して起こる細胞死です。血流が停止し酸素が欠乏したり、火傷(やけど)や大量の放射線などによって、タンパク質が変質し死に至ります。

●アポトーシス《細胞自殺》

プログラムされた中で、身体にとって不要になった細胞や、有害な細胞を排除する細胞死の機構です。よく言われているのが、落葉や両生類の尾が消えていく過程です。細胞が自ら死ぬという遺伝子の情報に基づいて行われているのです。

ガン細胞やウイルスに感染した細胞をT細胞などが攻撃し、マクロファージや好中球などの貪食細胞によって、速やかに処理されます。この一連の動きは、遺伝子に組み込まれたプログラム通りにスムーズに行われているのです。アポトーシスが過ぎたり、逆に少なすぎたりすると、さまざまな病気になります。自己免疫疾患は、本来死ぬべき細胞が死なずに残っているために起きます。

ワクチン(予防接種)

ワクチン(予防接種) ワクチンは、病原体を記憶し、再度侵入してきた病原体に対して速やかに抗体が作られて、身体を防衛する免疫のメカニズムを応用したものです。
あらかじめ毒性を弱めた病原菌や死んでしまった病原菌を体内に接種して抗体を作らせておいて、感染症を疑似体験させ、免疫を獲得させます。本物の病原菌に感染しても、素早く大量に抗体を作ることができて、病原菌の毒性を中和して排除してしまいます。

アレルギー

アレルギー 免疫がうまく機能していると、体内に花粉、ダニ、ほこり、食べ物等のアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)が入っても、免疫応対が作動して速やかに排除しようとします。
ところが免疫に異常があると、アレルギーを起こすIgEという抗体を分泌します。このIgEは抗体が体内に入ったアレルゲンと結合すると、化学物質であるヒスタミンを放出し、気管喘息や鼻炎の症状を引き起こします。アレルギーを起こす人は血液中のIgE抗体の値が高くなっています。
このIgE抗体は、元々寄生虫を排除する働きを持つ抗体です。

免疫システムを破壊するエイズウイルス

エイズウイルスは免疫システムの中枢であるヘルパーT細胞を破壊するので、免疫システムは動かなくなります。エイズ(後天性免疫不全症候群)はウイルスが原因で死亡するのではなく、通常であれば殆ど害の無いような細菌、ウイルス、カビなどに感染しても死に至ります。

免疫療法

細胞免疫療法  ・・・免疫細胞を人工的に強くして抵抗力をつける
免疫細胞療法  ・・・ガンを抑えるTリンパ球を体外で培養・活性化させて患者の体内に戻す方法
サイトカイン療法・・・ガンの治療などにサイトカインの一種であるインターフェロンなどを投与する

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